2018年04月04日
影の中の影 月村了衛 著
2018年03月23日
警視庁文書捜査官 麻見和史
本の帯に「右手首のない遺体」なんて書いてあるので、おどろおどろしいサスペンス物かとおもいきや、実に軽快な読み物でした。
会話文が多く、特に社会派な問題提起も無く、格別な密室も無く・・といった具合です。
犯人が残した文章や言葉から手がかりをつかむのが主人公の役割です。
しかし、あんまりそんなシーンは出てきませんでした。
捜査一課の面々の姿も無く、主人公の女子警部補とその助手だけで、どんどん犯人に迫ります。
主人公は、若干脳天気なところがあるというのも最近のキャラ設定によくあるパターンです。
さしずめ、綾瀬はるかや長澤まさみ、蒼井優などをキャスティングすれば、人気の映画が出来上がるんじゃないでしょうか。
博多から東京までの新幹線の中で癒やしの時をつくるのに適した作品と思います。
2018年03月06日
紙の城 本城雅人(ホンジョウマサト)著
2018年02月28日
オーパーツ 死を招く至宝
2018年02月18日
ミッドナイト・ジャーナル 本城雅人 著
7年前の事件とは、連れ去った女児を暴行した上に、殺して遺体を捨てるという事件でした。
7年後、主人公が飛ばされた先の埼玉で、またぞろ起こった女児連れ去り未遂事件。
目撃証言をつなぎ合わせると、7年前の事件が幽霊のように浮き上がってきます。
主人公は、同じ会社の上司や同僚とぶつかりながらも犯人に少しずつ迫っていくというベタなストーリーではあります。
しかし、筆力からなんでしょうかねえ。
読み始めると、片時も本を放せなくなりました。
もちろん一気読みです。
かつて「クライマーズ・ハイ」という日航機事故を題材にし、朝刊の締め切りと取材の信憑性を争った新聞記者を描いた小説がありました。
「64」という刑事ものの小説では過去の誘拐事件を追うあまりに、左遷された刑事の姿が描かれていました。
組織の中で葛藤する一匹狼の主人公。
実に骨太で、しかもスピード感のある物語に仕上がっています。
重厚で迫力に富んだ小説ということも出来ます。
間違いなく、第一級の作品です。
今年の8月にTVドラマとして放映されるらしいので、楽しみに待っています。
出来たら映画化もして欲しいものです。
主人公を堤真一、その部下を長澤まさみと竹内涼真。
警察庁担当キャップに役所広司。
埼玉県警刑事部長に渡辺健。
犯人役は・・・・、むずかしいところでしょうね。
2018年02月14日
木洩れ日に泳ぐ魚 恩田陸 著
全て一人称で書かれた小説です。
しかも、場面はアパート一室だけ。
登場人物は、明日朝は別れ別れになる若い男女。
男女が交互に自らの心の内を語りますし、相手の心を推量します。
その中身は1年前に起きた山岳ガイドの崖下転落事件について。
男女は、互いに相手が犯人の殺人事件だと思っています。
もう一つは、若い二人の過去と別れるに至ったこれまでの行き違い。
夜が明けるまでのノンストップです。
記憶の断片を互いにつなぎ合わせ、組み立て直せば別の世界が浮き上がってくるという手法です。
昔の探偵小説みたいです。
探偵は二人。
交互に、尋問するみたいな会話を交わし合うという設定が何とも言えません。
湊かなえの小説「告白」と似ています。
言葉だけ、想像だけ、記憶だけのやり取りですので真実は分かりません。
おそらく、「こういうことだろうな」という推測でしかありません。
あまりにも心理描写が複雑に絡み合うので、途中で飽きそうになります。
が、崖下転落事件の解明と男女の今後がどうなるかが気になってしかたがありません。
それで、一気に最後まで読んでしまいました。
ラストは、読者がいろいろ想像できるような描き方になっています。
2018年02月02日
寒い時はイオンで読書がいい
2018年01月28日
棲月 隠蔽捜査7 今野敏著
不審に思った竜崎はいち早く署員を向かわせるが、警視庁生安部長から横槍が入る。
さらに、管内で殺人事件が発生。
だが、伊丹から異動の噂があると聞かされた竜崎はこれまでになく動揺していた―。
やっぱり「苦しい時の今野敏」という格言は生きていました。
久々に手に取った今野敏の警察小説です。
本屋の新刊コーナー前を通りかかって、ふと見つけました。
最近、面白い本に出会わなかったもんですから。
原理原則で上の者にも下の者にもずけずけとものを言う御仁です。
キャリアのエリートなのに、息子の不祥事で引責降格されています。
今は所轄の署長なのに、階級が警視長という高級官僚です。
幼なじみは、警視庁の伊丹刑事部長。
変わり者の署長を取り巻く人々が、署長の言葉に呆れたり怒ったりします。
基本的には署長室や捜査本部の中が場面になっています。
刻一刻と集まってくる情報を精査しながら、犯人に迫っていくという流れです。
「孤軍」の場合は、犯人は分かっているのになかなか逮捕できないというお話で、同じ場面が何度もループします。
それに対して、本書はスピード感を持ってお話が推移していきます。
情報が集まるたびに犯人像が明らかになっていき、主人公が次から次に指示を出します。
署内の部下への命令に始まり、管轄外ひいては本庁の生活安全部やサイバー対策部へ・・・。
荒唐無稽であることは分かっているんですが、そんな主人公のむちゃくちゃ加減が楽しい小説です。
が、惜しいことに一気読みしてしまいました。
2018年01月22日
タスクフォースな刑事たち 孤軍
2017年12月14日
数年後は電気自動車が主流になるのか
「二酸化炭素の排出量が基本的に0になる」ことを目指す法案が数年前に可決され、いよいろ来年から規制がかかるという実在。
今回読んだ本「デッド・オア・アライブ」(楡周平)は、そこに焦点化して物語を展開しています。
【本の帯】
【読書後記】
実に勉強になりました。
電気自動車はバッテリーの性能に難があって、走行可能距離が短いという欠点があります。
それで、実用化にはほど遠いように思われています。
開発に係る費用も、スタンドを整備する費用も莫大になる公算が大きいです。
それを自動車価格に上乗せしたら、数百万円もするということです。
そこまでして不便な電気自動車を買うユーザーなんかいないはずですよね。
電気自動車が普及すればガソリンスタンドは倒産し、地方にはガソリンスタンドが少なくなります。
世界の趨勢は待ったなしで進んでいます。
どこに活路を見いだすか。
軽自動車のユーザーは、一日の走行距離の平均が40kmたらずだそうです。
一気に軽の電気自動車を量産できれば、シェアを握ることが出来ます。
新たなバッテリーが開発されたら、普通車への転用も可能になります。
これは、10年後の世界の話かもしれませんが、ものすごく大きなビジネスチャンスをはらんだストーリーです。
大手自動車メーカーや軽自動車の専門メーカー、弱小ベンチャー、家電メーカー、都市銀行、商社、政治家が入り乱れての展開は、スピーディーで波瀾万丈という感じです。
経済小説にありがちな難しい言葉は、いちいちタブレットで調べながらの読書となりました。
内容があまりにもおもしろいもんで、ついつい一気読みしてしまった次第です。
2017年12月08日
ねこ町駅前商店街日々便り
2017年11月19日
最後の証人 一発逆転を狙う弁護士の物語
2017年11月13日
検事の死命 柚月祐子
発刊した順で並べると「最後の証人」→「検事の本懐」→「検事の死命」となります。
スターウオーズシリーズのようです。
今回も基本的には短編のオムニバスなんですが、後半は長編のようになっています。
中心は、電車内で起こった痴漢事件、迷惑条例違反事件です。
容疑者すなわち加害者の家は旧家で地域の名士、国会議員にも手を回すことが出来るという設定。
痴漢の被害者は、補導歴を持つ娘と母親の単身家庭。
竹内検事には、検察上層部や地域の法相界から圧力が掛かります。
ひょうひょうした物腰ながら、強い信念に基づいて正義を正そうとする検事に支援の手がさしのべられます。
はたしてその結果は・・・・。
推理小説の形を取りながら、ヒューマンストーリーを巧みに描いた作品・・・ということになるのでしょう。
2017年11月04日
検事の本懐 柚月裕子

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2017年10月26日
二礼茜の特命 仕掛ける
2017年10月17日
ワルツを踊ろう 中山七里
中山七里史上、最狂・最悪のどんでん返しミステリ
住んでいるのは、詮索好きな地区長、生活保護費でパチンコ三昧の老人、村八分にされた一家……。
閉鎖的な村で自分の居場所を確保しようと、溝端了衛は資産運用相談会や村起こしのための共同事業などを提案する。
2017年10月10日
孤狼(ころう)の血 柚月裕子
緻密な構成、卓抜したリアリティ、予期せぬ結末。いやあ、おもしろい。正統派ハードボイルドに圧倒された。
ーー黒川博行氏(作家)
日本ミステリ史に残る、今世紀最高の悪徳警官小説だ。
ーー茶木則雄氏(書評家)
昭和63年、広島。
血湧き肉躍る、男たちの闘いがはじまる。
【読書後記】
「仁義なき戦い」の流れで「県警対組織暴力」という映画がありました。
アウトローの刑事役を菅原文太、県警のエリートを梅宮辰夫が演じたハードボイルド作品。
本作品もあの感じかな?と思えます。
ボロボロになりながらのハードボイルド作品です。
先輩刑事の言葉で「暴力団はなくなりゃあ、せんよ。・・・・やりすぎた外道を潰すだけでええ」というのがあるんですが、このセリフが妙に印象的でした。
暴力団担当の刑事でありながらヤクザとのコネを使って、親分衆を訪ね歩くベテラン刑事。
悪徳刑事なんですが、どうしてもヤクザの抗争を止めたいんです。
市民を守るためには手段を択ばないんです。
周辺にも魅力的なキャラがいっぱいです。
先輩刑事のやり方に疑問を感じながらも、次第に尊敬の念を抱いていく新米刑事。
しっとりと落ち浮いてはいるものの、修羅場を生き抜いてきた小料理屋の女将。
荒くれ物の暴力団担当の刑事たち。
いずれは広島を束ねるであろう弱小組織の若頭。
ラストまで一気呵成にそれぞれの役割を担って、魅力的なキャラたちがストーリーを進めていきます。
日本推理作家協会賞に輝くのにふさわしい作品でした。
既に映画化の予定があって、アウトローのべテラン刑事に役所広司、正義感の強い新米刑事に松坂桃李、小料理屋の女将に真木よう子というキャスティングらしいです。
観たいですね。
2017年10月02日
マスカレード・ナイト 東野圭吾
犯人は、コルテシア東京のカウントダウンパーティに姿を現す!?
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2017年09月14日
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吉川英治文学賞受賞作。