2017年11月19日

最後の証人 一発逆転を狙う弁護士の物語 

作者は柚月裕子。


【本の帯】

元検察官の佐方貞人は刑事事件専門の敏腕弁護士。

犯罪の背後にある動機を重視し、罪をまっとうに裁かせることが、彼の弁護スタンスだ。

そんな彼のもとに、殺人事件の被告人から弁護依頼が舞い込む。

高層ホテルの一室で起きた刺殺事件。

男女間の愛憎のもつれの末の犯行であり、物的証拠、状況証拠から有罪確実だとみられている。

しかし佐方の本質を見抜く勘が、事件の裏に何かがあると告げていた。

有罪必至の弁護を引き受けた佐方の勝算とは何か。

やがて裁判は驚くべき展開をみせる!

感動を呼ぶ圧倒的人間ドラマとトリッキーなミステリー的興趣が、見事に融合した傑作法廷サスペンス。

『このミステリーがすごい!』大賞受賞作家による、衝撃の話題作! 

【読書後記】

「検事の本懐」と「検事の死命」は、30歳の主人公、検事の佐方貞人のオムニバスストーリー。

先に発刊した本書「最後の証人」は42歳の主人公、弁護士の佐方貞人のヒューマン&サスペンスストーリーということになっています。


さえ、今回の事件、弁護側にとっては絶体絶命の事件。

検事の一方的優勢で裁判が進み、主人公はただただ尋問を聞いているだけの存在になっています。

どこかに起死回生の隠し玉があるあずです。



殺人事件がある夫婦の復讐劇であることは、裁判と並行して描かれる夫婦の回想シーンで明らかです。

読者は、主人公の一発逆転がいつ登場するかを楽しみにしながら、辛抱強く先を読み進めることを強いられます。


第一回公判、第二回公判と続き、最終弁論が近づくころになると、読者は考えさせられます。

「最後の証人」って誰だ?

二人考えられます。

一人目を選択したとしても一発逆転は難しそうです。

二人目、そう彼なら一発逆転に通じる大証言を得られるかもしれません。

そんな風に先読みするのも楽しい作品です。


「最後の証人」が登場してクライマックスに入る矢先に、作者は読者に張っていた罠を明らかにします。

これまで被告人と思っていた人物が被害者で、被害者と思っていた人物が被告人だったんです。

えっ!えっ!えっ!

なんじゃそりゃあ!・・てな具合です。

その後は、主人公の独壇場となって裁判は決心まで進みます。


さて、主人公には若く美しい事務官が付いていて、時々物語に可愛い姿を現します。

しかし、意外なことに彼女が物語の締めを飾るんです。

泣かせるようなセリフを吐くもんですから、思わず目頭が熱くなってしまいます。


本作品は、第一級のサスペンスでありヒューマンストーリーだろうと思います。




posted by 田沼 at 12:58| Comment(0) | 読書のススメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月13日

検事の死命 柚月祐子

作者は第7回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、『臨床真理』にて2009年デビュー。

『検事の本懐』で2012年第25回山本周五郎賞にノミネート、2013年度第15回大藪春彦賞受賞。


【本の帯】

郵便物紛失事件の謎に迫る佐方が、手紙に託された老夫婦の心を救う(「心を掬う」)。

感涙必至!佐方の父の謎の核心が明かされる「本懐を知る」完結編(「業をおろす」)。

大物国会議員、地検トップまで敵に回して、検事の矜持を押し通す(「死命を賭ける」-『死命』刑事部編)。

検察側・弁護側ー双方が絶対に負けられない裁判の、火蓋が切られた(「死命を決する」-『死命』公判部編)。

骨太の人間ドラマと巧緻なミステリーが融合した佐方貞人シリーズ。

刑事部から公判部へ、検事・佐方の新たなる助走が、いま始まる!
【読書後記】

発刊した順で並べると「最後の証人」→「検事の本懐」→「検事の死命」となります。

しかし、主人公の時系列で並べると「検事の本懐」→「検事の死命」→「最後の証人」ということになる竹内貞人シリーズです。

スターウオーズシリーズのようです。

今回も基本的には短編のオムニバスなんですが、後半は長編のようになっています。


中心は、電車内で起こった痴漢事件、迷惑条例違反事件です。

微罪の事件ですが、主人公はこだわります。


容疑者すなわち加害者の家は旧家で地域の名士、国会議員にも手を回すことが出来るという設定。

痴漢の被害者は、補導歴を持つ娘と母親の単身家庭。

竹内検事には、検察上層部や地域の法相界から圧力が掛かります。


ひょうひょうした物腰ながら、強い信念に基づいて正義を正そうとする検事に支援の手がさしのべられます。

上司が助けます。

置換を捕まえた所轄の署長やその部下たち。

最後は上級官庁の検事正まで。

はたしてその結果は・・・・。


推理小説の形を取りながら、ヒューマンストーリーを巧みに描いた作品・・・ということになるのでしょう。



posted by 田沼 at 05:39| Comment(0) | 読書のススメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月04日

検事の本懐 柚月裕子

【本の帯】

12万部突破の法廷ミステリー『最後の証人』主人公のヤメ検弁護士・佐方貞人の検事時代を描いた連作ミステリー、待望の文庫化です。


骨太の人間ドラマと巧緻なミステリー的興趣が見事に融合した連作短編集。
出所したばかりの累犯者が起こした窃盗事件の真実を抉る「罪を押す」。

県警上層部に渦巻く嫉妬が、連続放火事件の真相を歪める「樹を見る」。

同級生を襲った現役警官による卑劣な恐喝事件に、真っ向から対峙する「恩を返す」。

東京地検特捜部を舞台に、法と信義の狭間でもがく「拳を握る」。

横領弁護士の汚名をきてまで、約束を守り抜いて死んだ男の真情を描く「本懐を知る」。



【読書後記】


第25回(2012年)山本周五郎賞候補、第15回(2013年)大藪春彦賞受賞作というだけあって、中々読み応えのある作品でした。


主人公はボサボサ頭によれよれスーツの若者。

30歳になるかならないかの新米検事です。

派手さはないが、事件のポイントに接した時に見せる鋭い眼差しが印象的です。


短編集にありがちな薄っぺらなストーリー展開ではなくって、じっくり読ませて核心に迫るという流れに好感が持てます。

短編の前半部分に、事件のポイントが示されています。

必ず読者にも分かるようになっています。

そのポイントに徐々に徐々に迫っていく過程がたまりません。


人の心を法に照らして正義に導く主人公の言動にヒューマンストーリーを感じます。

ここが山本周五郎賞の候補になったり、大藪春彦賞を受賞するに至っ理由でしょう。

文章は柔らかく、しかも巧みで読者をグイグイ惹き付けます。

一話、一話を読み終わるたびに、満足感を覚えるという作品です。
  

第一級の探偵小説と言えるでしょう。

久々の☆5つです。


追伸

本作品は、佐方貞人シリーズの第2作目なんですが、時系列でいうと第1作目「最後の証人」の前の時代ということになります。

また、第3作目「検事の死命」も第1作目の前の時代ということになります。

すなわち、時系列で並べると、第2作目「検事の本懐」→第3作目「検事の死命」→第1作目「最後の証人」ということになります。

スターウオーズのシリーズのようです。

私は、時系列に沿ってシリーズを読み進めようと思います。



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2017年10月26日

二礼茜の特命 仕掛ける

作者は城山真一。

【本の帯】

『このミステリーがすごい! 』大賞受賞後、第一作!

内閣金融局の秘密部門S2に所属する二礼茜の仕事は、依頼人の“もっとも大切なもの”と引き換えに、経営危機に直面する会社に対して資金作りの協力をすること。

新たな依頼主である創薬会社のエヌメディックは、提携していた大手製薬会社が共同研究から撤退し、銀行から融資引き揚げの通告を受けている上、株価が乱高下したことで、インサイダー情報が漏れていた可能性まで噂されていた。

茜は「インサイダー取引にかかわった人間を特定すること」を条件に、株取引を開始する。

しかし、大型株の市場ではヘッジファンドなどが操る自動売買システムが高速取引で相場を牛耳っていた……。

果たして、茜は巨大アルゴリズム取引に勝つことができるのか?


【読書後記】

ずいぶん昔、「ハゲタカ」という投資ファンドグループの戦いを描いた作品がありました。

敵対的買収や白馬の騎士、トロイの木馬等々、企業買収にかかる隠語が飛び交った作品でした。

理解できない株取引の文言に閉口しました。

それと同時に、株取引の裏側を覗いたような気分にもなれました。

素人が手を出す領域ではないと確信したものです。

また、あの世界で生きている人たちの苦悩にも触れることが出来ました。

ちょうどライブドア事件?が勃発した頃でした。


さて、今回も株の取引き、デイトレードという場面が頻繁に登場します。

内容に関してはほぼチンプンカンプンでしたが、ハゲタカ同様に勉強になりました。

今の株取引は、システム化されていて人間が入り込む余地が非常に狭まれているようです。

1秒間にものすごい数の売り買いが成立するそうですから、やっぱり素人が手を出す領域ではなようですね。


ストーリー自体にワクワクする点は少ないですが、小説仕立てで株取引の勉強ができますので一読の価値がありそうです。



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2017年10月17日

ワルツを踊ろう 中山七里

【本の帯】

職もカネも家もないあぶれ者に、生きる術はあるのか。

中山七里史上、最狂・最悪のどんでん返しミステリ


職を失い20年ぶりに帰郷した了衛を迎えたのは、7世帯9人しか住まない限界集落だったーー。

住んでいるのは、詮索好きな地区長、生活保護費でパチンコ三昧の老人、村八分にされた一家……。

閉鎖的な村で自分の居場所を確保しようと、溝端了衛は資産運用相談会や村起こしのための共同事業などを提案する。

だが住民から返ってきたのは、嘲笑と敵意ーー。

愛するワルツの名曲“美しく青きドナウ”を通じ、荒廃した村を立て直そうとするが、了衛の身辺で、不審な出来事が起こりはじめ…。

追い詰められた了衛がとった行動とは!?

【読書後記】

以下は、あくまでも浅学な爺ちゃんの独断と偏見に満ちた感想です。


「中山七里史上、最狂・最悪のどんでん返しミステリ」という言葉にだまされました。

だって、中山七里という作者名と「どんでん返し」とくりゃあ心惹かれますよねえ。


しかし、早い段階からストーリーが見えていました。

不審な出来事の犯人は誰なのか。

一番怪しくない人間が犯人だ・・という昔からのセオリー通りの展開です。


ダラダラと同じような出来事が続きますし、主人公のキャラにも魅力を感じません。

単なる落ちこぼれで、勘違いから問題を引き起こす都会人。

外資系の企業に勤めていた39歳という設定なのに、やることなすこと十代のフリーターです。


ワルツが殺人のBGMのように流れるんですが、地獄の黙示禄という映画のパクリなんでしょうか。

連続殺人の描き方は、八墓村のパクリとしか言いようがありません。

その部分のページは一気に飛ばし読みしました。


それでも読者は「最後のどんでん返し」に期待して読み進めたんです。

それが、それがですよ。

通り一遍の謎解きなんです。

犯人は最初っから分かっていたのに、いきなり数ページで終末です。

「いつか罰を受けるでしょう」的な終わり方では満足できません。


中山七里からの撤退を決めました。




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2017年10月10日

孤狼(ころう)の血 柚月裕子

【本の帯】

常識外れのマル暴刑事と極道の、プライドを賭けた戦い。

作家、マスコミほか多くの賞賛を集めた、圧巻の警察小説。

緻密な構成、卓抜したリアリティ、予期せぬ結末。いやあ、おもしろい。正統派ハードボイルドに圧倒された。

ーー黒川博行氏(作家)

日本ミステリ史に残る、今世紀最高の悪徳警官小説だ。

ーー茶木則雄氏(書評家)

昭和63年、広島。

所轄署の捜査二課に配属された新人の日岡は、ヤクザとの癒着を噂される刑事・大上のもとで、暴力団系列の金融会社社員が失踪した事件の捜査を担当することになった。

飢えた狼のごとく強引に違法行為を繰り返す大上のやり方に戸惑いながらも、日岡は仁義なき極道の男たちに挑んでいく。

やがて失踪事件をきっかけに暴力団同士の抗争が勃発。衝突を食い止めるため、大上が思いも寄らない大胆な秘策を打ち出すが……。

正義とは何か、信じられるのは誰か。

日岡は本当の試練に立ち向かっていくーー。

血湧き肉躍る、男たちの闘いがはじまる。



【読書後記】


「仁義なき戦い」の流れで「県警対組織暴力」という映画がありました。


アウトローの刑事役を菅原文太、県警のエリートを梅宮辰夫が演じたハードボイルド作品。




本作品もあの感じかな?と思えます。


ボロボロになりながらのハードボイルド作品です。


先輩刑事の言葉で「暴力団はなくなりゃあ、せんよ。・・・・やりすぎた外道を潰すだけでええ」というのがあるんですが、このセリフが妙に印象的でした。




暴力団担当の刑事でありながらヤクザとのコネを使って、親分衆を訪ね歩くベテラン刑事。


悪徳刑事なんですが、どうしてもヤクザの抗争を止めたいんです。


市民を守るためには手段を択ばないんです。


周辺にも魅力的なキャラがいっぱいです。


先輩刑事のやり方に疑問を感じながらも、次第に尊敬の念を抱いていく新米刑事。


しっとりと落ち浮いてはいるものの、修羅場を生き抜いてきた小料理屋の女将。


荒くれ物の暴力団担当の刑事たち。


いずれは広島を束ねるであろう弱小組織の若頭。



ラストまで一気呵成にそれぞれの役割を担って、魅力的なキャラたちがストーリーを進めていきます。




日本推理作家協会賞に輝くのにふさわしい作品でした。


既に映画化の予定があって、アウトローのべテラン刑事に役所広司、正義感の強い新米刑事に松坂桃李、小料理屋の女将に真木よう子というキャスティングらしいです。


観たいですね。





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2017年10月02日

マスカレード・ナイト 東野圭吾

【本の帯】

若い女性が殺害された不可解な事件。

警視庁に届いた一通の密告状。

犯人は、コルテシア東京のカウントダウンパーティに姿を現す!?

あのホテルウーマンと刑事のコンビ、再びーー。


【読書後記】

マスカレード・ホテル、マスカレード、イブに続くシリーズ第3弾。

マスカレード・イブの発刊から2〜3年がたったように感じます。

その間、期待が大きく膨らんで、爆発しそうな時期に手にしたマスカレード・ナイトでした。


初めて接する人には、ホテル内の人の思いや様子が詳しく出てきますので、期待していいと思います。

3度目の私にとっては、期待があまりにも大き過ぎたようです。

おやっと思うくらいにあっさりとしたストーリーに感じました。

特にコンシェルジュに無理難題を申し付ける客の正体は、前半部分でほぼ分かりました。


何のヒントもなく関係者の回想で謎解きが行われるのにも違和感を覚えました。

大昔の探偵小説のようでした。


刑事とコンシェルジュのコンビが事件を解決するという前触れでしたが、?が10個ほど私の頭の上を回っています。

そんなシーンはなかったように感じました。

事件をめぐって、二人が絡むシーンは無かったです。

二人の仲が恋話に発展するのかなとも期待していたんですが裏切られました。


このシリーズからは、撤退することに決定です。

東野圭吾からも撤退することにします。





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2017年09月24日

機龍警察 狼眼殺手 月村了衛

【本の帯】

経産省とフォン・コーポレーションが進める日中合同プロジェクト『クイアコン』に絡む一大疑獄。

被害者の一人が特捜部が追う馮グループの要人で、疑獄事件の疑いもあることから、捜一、捜二、特捜部の合同捜査となる。

何者かによって関係者が次々と殺害されていく。

警察内部の軋轢を嘲笑うかのように、事件は全く別の様相を見せる…… 。

謎の暗殺者に翻弄される警察庁。

事態はさらに別の様相を呈し始める。

追いつめられた沖津特捜部長の下した決断とは?

生々しいまでに今という時代を反映する究極の警察小説シリーズ、激闘と悲哀の第5弾。


【読書後記】

とにかく複雑で、凡人には頭が痛くなるような作品でした。

先ず、警察組織です。

特捜部(架空組織)が主役で、次いで刑事部の捜査一課と捜査二課、公安の外事二課、組織暴力対策部、警備部等々が入り乱れます。

これが互いに反目し合う間柄。

警察庁や検察庁、国税局などのお役所が権力闘争をおっぱじめます。


警察内の階級もいっぱいです。

警視監、警視長、警視正、警視・・・等々。

同じ階級でも、先輩か同期か後輩かで人間関係が複雑に絡み合います。

さらに、中国マフィアと日本国内の秘密組織が三つ巴に参戦します。

登場人物を覚えるだけでも一苦労です。

いえ、覚えきれません。

前のページを何度も見返しました。


殺人事件の捜査なのか、疑獄事件なのか、公安事案なのか・・・もう大変です。

おまけに、特捜部にはSFまがいのアサルトスーツを着込んだ攻撃隊員までいるんです。

3人の隊員は、北アイルランドの元テロリスト、元ソ連軍人、元刑事という変わり種。

これが、ハンドガンはもちろんアサルトライフルからショットガンまで自由に使用します。

日本国内でです。


今回の悪役は北アイルランドのテロリスト。

日本のプロジェクト事業の要人を次々に暗殺します。

凄腕の殺し屋なんです。

迎え撃つ特捜部…といった感じでしょうか。


もう、内容がてんこ盛りです。

むちゃくちゃです。

むちゃくちゃだから面白いのかもしれません。

アクションシーンは、アメリカ映画のように派手派手です。

打って打って打ちまくると言っても過言ではないくらいです。


長編ですので、一気読みしないと登場人物や物語の複雑さに負けてしまいますよ。



追伸

東野圭吾のマスカレード・ナイトを読み始めました。

次回を乞うご期待!というところです。



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2017年09月14日

祈りの幕が下りる時 東野圭吾

【本の帯】

悲劇なんかじゃない。

これが私の人生。

加賀恭一郎は、なぜ「新参者」になったのかーーー。

明治座に幼馴染みの演出家を訪ねた女性が遺体で発見された。

捜査を担当する松宮は近くで発見された焼死体との関連を疑い、その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに加賀恭一郎は激しく動揺する。

それは孤独死した彼の母に繋がっていた。

シリーズ最大の謎が決着する。

吉川英治文学賞受賞作。

【読書後記】

まさに、フューマンストーリー。

そして、どうしようもなく悲しくなるラストでした。


本作品は、福祉施設に勤める中年女性が昔なじみを東京に訪ねた時から始まります。

訪ねたことによって発生する殺人事件なんです。


この流れは、古くは「飢餓海峡」や「砂の器」「人間の証明」を思い起こすことができます。

「天河伝説殺人事件」というのもありましたね。

訪問した者の思いと訪問された者の思いにギャップがあり、これが連続殺人事件の引き金になります。


そういえば、「新参者」や「麒麟の翼」も思いのズレから殺人事件が起こるんでしたよね。

全てが明らかになった時に、どうしようもなく悲しくなるストーリーです。


殺人事件は、主人公の母親が残したメモに繋がりがありました。

10年も前に死んだ母親でした。

しかも、息子を捨てて出て行った母親は長年の一人暮らしの末の孤独死でした。

何故、息子を捨てたのか。

現代の殺人事件を解き明かすと、母親の失踪と孤独死の謎が解けそうです。


さらに、何故主人公は警視庁捜査一課を離れて、日本橋署に転勤して新参者になったのか。

その謎も追って、30年前まで遡る刑事たち。


1985年の『放課後』、1999年の『秘密』、2006年の『容疑者χの献身』、2012年の『ナミヤ雑貨店の奇蹟』、2013年の『夢幻花』に、勝るとも劣らない納得のヒューマンストーリーです。

文句なしの☆5つ。



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2017年09月07日

回帰 困った時の今野敏

本屋に行って、読みたい本が見つからなかったら、今野敏の本を買うようにしています。

ほぼハズレがないようです。

これを称して「困った時の今野敏」

私にしか通用しない合言葉です。

【本の帯】

これは日本で初めて起こったテロ事件なのか?

事件は現場ではく会議室でも起きている!!

捜査と家庭に追われる刑事の奮闘を描く、シリーズ最新作!!


四谷にある大学の門近くで自動車の爆発事故が起こった。

死者と怪我人を出したこの爆発は、やがて「爆弾」が仕掛けられていたことが判明する。

警察はテロと断定し、警視庁刑事部捜査一課の樋口顕は情報収集に動き出すが、

上司である天童隆一管理官から「かつての部下、因幡が『テロを防ぎたい』という
電話をかけてきた」と打ち明けられる。

国際テロ組織に入った噂のある因幡からの電話は、今回のテロとの関連するのか?

そんな最中、樋口の娘・照美が、バックパッカーで海外旅行に行きたいという。

公安も捜査に乗り出す中で、テロ捜査と家庭の間で奮闘する樋口は何を思うのかーー。

【読書後記】

「困ったときの今野敏」はハズレていませんでした。

かつては、東野圭吾がそうだったんですがね。

最近は、今野敏が一押しです。


さて、今回の舞台は、爆発事件の捜査です。

大きなテロの前哨戦と思われるこの爆弾事件。

事件が進行中ですので、捜査本部ではなくって指揮本部が舞台です。

そこに公安部の捜査官が乗り出してきます。

公安部と刑事部の対立を描くのは、警察小説のセオリーです。

その間に帰国したテロ組織の一員と思われる元刑事も絡んできます。

三つ巴の対立とテロ捜査が指揮本部で展開します。

かつて「事件は会議室で起こってるんじゃない。現場で起きてるんだ」と叫んだのは、踊る大捜査線でした。

本作品は、外の捜査員から上がって来る情報をもとに、指揮本部の管理官席でのやり取りを中心に書かれています。

いわば「事件は会議室で推理しているんだ」という訳です。


容疑者が二転三転。

協力者なのか、捜査のかく乱か。


さらにさらに、主人公の家庭問題までもが勃発しますので、大混乱です。


会話文が多く、スピーディーに話が展開しますので、一気読みは間違いなしです。

秋の夜長を楽しむにはもってこいの一品です。




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2017年09月01日

深淵の覇者 数多久遠(アマタクオン)作

【本の帯】

尖閣諸島に中国駆逐艦「石家荘」が接近、日本政府は海上自衛隊護衛艦「あきづき」を派遣した。

中国国内の政治情勢悪化にともない、両国の情報戦が激化している矢先のことだった。

一方、新型ソナー兵器開発に携わる海自技官木村美奏乃は、五年前に潜水艦事故で亡くなった婚約者の死の謎を追っていた。

やがて、「あきづき」が魚釣島近海で消息を絶ち、緊迫する東シナ海へ、わが国初の女性首相御厨は、新型ソナー兵器を搭載した潜水艦「こくりゅう」投入を決定。

木村も乗艦することになったが…。

緊迫する日中関係はどうなるのか。

婚約者の命を奪った事故の真相とは?沖縄トラフの海中を舞台に、最先端技術と頭脳を駆使した熾烈な戦いを圧倒的迫力で描いたミリタリー・サスペンスの傑作!


【読書後記】

自衛隊のステルス潜水艦と中国の高速潜水艦の息詰まる海戦です。


潜水艦ものの映画で思い出すのは、「眼下の敵」、「レッド・オクトーバーを追え」なんかが有名ですね。

日本にも素晴らしい作品がありました。

かわぐちかいじ原作の「沈黙の艦隊」(アニメ)や福井晴敏の「終戦のローレライ」(小説)が圧巻でした。

潜水艦を巧みに操る艦長の姿。

戦略の見事さに度肝を抜かれたことを思い出します。


本作品も、やはり戦略の見事さが光っています。

潜水艦の性能を熟知しているからこそできる攻撃の在り方。

敵の潜水艦の艦長の思惑。

日本と中国の政治バランス。

海面下の前線で直接対峙する潜水艦乗組員の思い。

海自と空自の連携による領海権の確保。

自衛隊が抱えている問題点。

等々を余すところなく描き切っています。


一気読みしてしまう名作のセオリーも生きています。

「はじめちょろちょろ、なかぱっぱ」です。

一見なんでもないストーリーが続く導入。

小さな出来事が繋がり、謎が解き明かされる中盤。

ラストにみなぎる緊張感とスピード感。


リアル感いっぱいの筆力に圧倒されました。




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2017年08月19日

土漠の花 ソマリアの自衛隊脱出作戦 

作者は月村了衛。

【本の帯】

ソマリアの国境付近で活動する陸上自衛隊第一空挺団の精鋭達。

そこに命を狙われている女性が駆け込んだ時、自衛官達の命を賭けた戦闘が始まった。

一人の女性を守ることは自分達の誇りを取り戻すことでもあった。

極限状況での男達の確執と友情。

次々と試練が降りかかる中、生きて帰ることはできるか? 

一気読み必至の日本推理作家協会賞受賞作!


【読書後記】

「一気読み必至」という言葉につられて、買ってしまいました。

結果は、まさに一気読み。

久々の満足を感じさせてくれました。

第一級のノンストップアクションです。


アメリカ映画に何度か登場した設定ではあります。

大軍に包囲された小隊が、決死の脱出を試みる・・・というストーリーです。

その絶体絶命の状況に日本の自衛隊が遭遇してしまったんです。

交戦規程等々の難しい問題が生じます。

しかし、交戦規定も外交交渉も目の前で失われていく命の前では、何の助けにもなってはくれません。

生と死が隣り合わせに存在する前線の自衛隊。

今の日本の状況や自衛隊の在り方等への問題提起があるように感じます。



さて、この小隊。

隊員のそれぞれに生活があり家族があります。

過去もあれば、悩みもあります。

そんな人間らしい姿があちこちに描かれています。


そして、陸上自衛隊第一空挺団の精鋭達ですから、ずば抜けた能力を持っています。

射撃の名手、爆発物の専門家、元自動車修理工等々。

それらの能力が小隊の脱出に、危機一髪のシーンに発揮されます。


一人減り二人減りしながら、生き残った隊員たち。

ボロボロになりながらも、散っていった仲間たちの為にも生き残ることを決意します。


物語の全編にソマリアの現状や自然が、どうしようもなく悲しく描かれています。

大国のエゴをもとに起こされる部族間の紛争。

厳しい自然との共生。虫けらのように命を奪われていく人々。
ここにも、作者の問題提起を感じずにはいられません。


しかし、堅物の物語なんかで日本推理作家協会賞は受賞できません。

第一級のアクション巨編であり、冒険小説と言っていいでしょう。

息つく暇もなく一気読みしてしまいました。


久々の☆5つ。 



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2017年08月10日

暗闇のマリア 真保裕一

【本の帯】

相次ぐ自殺の謎

警察庁に作られた特命捜査班

夫は何をしていたのか……

真相はどこにある? 

一気読み間違いなしのノンストップ・エンターテインメント

===
夫は自殺ではない、殺されたのだ。

警察から連絡を受けて、富川真佐子は呆然となる。自殺の状況は完璧にそろっていた。

でも、絶対に違う。夫は死を選べるような人ではない。

この自殺の背後には、きっと何かあるーー。真相を探る孤独な闘いが始まった。

警察庁では、真佐子から相談を受けた元刑事の井岡が、内密に過去の事件を調査していく。

次々と明らかになる不可解な自殺……。

もし、自殺大国と言われる日本で、多くの「偽装された死」があるとしたら?

ついに二人は謎の鍵を握る男の存在にたどりつく。が、彼はすでに異国の地で死んでいた!?

闇にうごめく暗殺者は、なぜ生まれたのか?

国際的スケールで展開する極上エンターテインメント!

【読書後記】

作者に文句なし。

決して期待を裏切らない人ですよね。

それ以上に、本の帯にある「一気読み間違いなし」というキャッチコピーにもつかまってしまいました。

ストーリーは、何気ない日常から徐々に舞台が広がって行きます。

緊迫感やスピード感も読み進める内にどんどん高まってきます。

刑事と殺された官僚の妻が、それぞれに過去を探っていきます。

そして、それぞれにある男に到達します。

それからのスピード感は超特急です。

まさに、一気読みというところでしょうか。

「砂の器」や「人間の証明」を思い出しました。




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2017年08月08日

居酒屋 ぼったくり  秋川滝美

 【本の帯】

東京下町にひっそりとある、居酒屋「ぼったくり」。

名に似合わずお得なその店には、旨い酒と美味しい料理、そして今時珍しい義理人情があるー旨いものと人々のふれあいを描いた短編連作小説。

待望の書籍化!

全国の銘酒情報、簡単なつまみの作り方も満載!

【読後後記】

シリーズ化されているので、多くの人の共感を呼んでいる作品と思われます。

作風は、「おいしんぼ」とか「深夜食堂」といったところでしょうか。

「ぼったくり」という屋号は、「普通の料理を出して人様からお金を頂くんだから、ぼったくりも同然だ」と言った初代店主の名言から来ています。

今はその長女と次女が跡を継いで、常連客とのほのぼのとした触れ合いを生きがいにしている・・・といった物語です。

癒しの居酒屋に迷い込む小さな小さな問題ごとを、店主の機転と巧みな料理で解決しているというところが、やっぱり深夜食堂に似ています。

小料理の簡単レシピが毎回登場しますので、料理好きの人にはこの上ない作品だろうと思います。

何巻も続いていますので、涼しいクーラーの中でゆっくり読み続けてはいかがでしょう。




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2017年07月29日

博多豚骨ラーメンズ 博多は殺し屋が住む町

作者は、木崎ちあき(キサキチアキ)。

【本の帯】

福岡は一見平和な町だが、裏では犯罪が蔓延っている。

今や殺し屋業の激戦区で、殺し屋専門の殺し屋がいるという都市伝説まであった。

福岡市長のお抱え殺し屋、崖っぷちの新人社員、博多を愛する私立探偵、天才ハッカーの情報屋、美しすぎる復讐屋、闇組織に囚われた殺し屋。

そんなアクの強い彼らが巻き込まれ、縺れ合い紡がれていく市長選。

その背後に潜む政治的な対立と黒い陰謀が蠢く事件の真相とはー。

そして悪行が過ぎた時、『殺し屋殺し』は現れるー。

第20回電撃小説大賞大賞受賞作。

【読後後記】

最近、胸がワクワクするくらいにおもしろい本に出合っていません。

ちょいと前は、何々大賞という文学賞を当てにしながら選んでいました。

しばらくはこの選択方法でよかったんですが、そのうち飽きました。

そんでもって、最近は自分がこれまでに選択したことがない作者、ジャンル、表紙カバーの作品を購入するようにしていました。

シリーズ化されている作品も、多くの人の共感を得ているんだから期待できます。

しかし、今のところ私の趣味にピッタリの作品に出合うことができていません。

今回も、新しいの条件にぴったりの作品なんですが・・・。


博多の街には殺し屋がうようよ居るという設定です。

この設定は、案外奇想天外でおもしろいと思いました。

しかし、登場人物が多すぎるんです。

おじちゃんには覚えきれません。

誰が主人公で、誰を中心に話が出来上がっているかがどこまで読んでも分かりませんでした。

暴力的な表現も多いし、簡単に人が死んでいくのも、ちょっとねえ・・・・。

この本もシリーズ第一巻での途中下車かな?




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2017年07月24日

警視庁公安J 鈴峯紅也

【本の帯】

幼少時に海外で行方不明となった経緯から、非常時における冷静さ残酷さ、常人離れした危機回避能力を得た小日向純也。

現在、そんな彼は警察庁のキャリアとしての道を歩んでいた。

しかし、ある日、純也が思いを寄せる木内夕佳が何者かに殺されてしまう。

背後にちらつくのは新興宗教〈天敬会〉と女性斡旋業〈カフェ〉。

真相を探ろうと奔走する純也だったが、事態は思わぬ方向へと展開し……。

警察小説のニューヒーロー誕生。

【読書後記】

主人公のプロフィールが奇想天外です。

現在の内閣総理大臣の息子で、テロリストに誘拐された後は傭兵として青春を送った人物。

その後救い出されて、東大法学部を卒業後、警視庁のキャリアとして正義を貫いています。

大金持ちの一族なので、捜査費用は自分持ち。

公安組織の中に自分用の分室を持ち、公安部長さえも動かせます。

その上、中近東風の彫りの深い顔立ちをしているので女性にもてます。

非の打ち所のない主人公と地味〜な公安刑事3人が悪に挑むというストーリーです。


今回の敵は新興宗教。

その過去を洗う内に、北の工作員が姿を表すといった具合です。

ここまで荒唐無稽になったら、派手なドンパチを誰でも期待しますよね。

それが、ストーリー自体は落ち着いたものです。

残念です。

作者はアクションがあまり好きではないか、書けないのか?

三部作なんですが、この一部で終了することにします。

あくまでも浅学な上に、わがままなオヤジの意見です。




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2017年07月15日

槐 エンジュ  月村了衛

【本の帯】

水楢中学校野外活動部の弓原公一らが合宿で訪れた湖畔のキャンプ場で、惨劇は起こった。

隠された大金を捜す半グレ集団・関帝連合がキャンプ場を封鎖し、宿泊客を虐殺し始めたのだ。

囚われの身となった公一たち。

だが絶体絶命の状況下、突然何者かが凶悪集団に反撃を開始した!

謎の闘士と中学生たちが決死の脱出に挑む。

今最も旬な著者による戦慄と興奮の物語。


【読書後記】

先ず、この漢字の題名?

「えんじゅ」と読むんだそうです。

道路や公園に植えられていることの多い樹木で、丈夫で大気汚染にも強い植物なんだそうです。

太い幹を伸ばして大きく生長し、葉っぱを茂らせます。

花や蕾には薬効成分が含まれ、生薬としても利用されてきました。

主人公というか、なんというか?

登場する女性戦士の名前です。

さて、本の帯には「突然何者かが凶悪集団に反撃を開始した!」と書いていますが、キャンプ場での惨劇が始まってすぐに、この戦士は登場します。

いきなりキャンプ場でドンパチが始まるのにはびっくりしました。

まるで、ストーリー性のないアメリカのアクション映画みたいです。


そう。

この小説にストーリー性を求めてはいけないんです。

とにかく派手にドンパチやるのを楽しめばいいんです。


作者のプロフィール欄には数々の文学賞受賞歴があって、「そして誰もいなくなった」的なストーリーを期待したんですが、それは忘れましょう。

アクション映画を観るような感覚で、一気読みをすることにしましょう。

それなりに楽しめますよ。


追伸

上記の感想は間違っているかもしれません。

なにしろ中盤まで読んだ感想だったんです。

後半は、巧みな心情描写や情景描写がふんだんに登場します。

ストーリー展開も読者を飽きさせません。

流石は、吉川英治大賞新人賞、日本SF大賞、日本推理作家協会賞や大藪春彦賞をゲットし作家さんです。






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2017年07月13日

いい加減な夜食 秋川滝美

【本の帯】

ハウスクリーニングのバイトをして学費を稼ぐ大学生、谷本佳乃。

ある日彼女が、とある豪邸の厨房を清掃していたところ、その屋敷の使用人頭が困り顔でやってきた。

聞けば、主が急に帰ってきて、夜食を所望しているという。

料理人もとっくに帰った深夜の出来事。

軽い気持ちで夜食づくりを引き受けた佳乃が出したのは、賞味期限切れの食材で作り上げた、いい加減なリゾットだった。

れから一ヶ月後。突然その家の主に呼び出されたかと思うと、佳乃は強引に雇用契約を結ばされてしまい…


【読書後記】

結論から言うと、じいちゃんが読む本ではありませんでした。

1巻から2、3、4、5巻・・と続いているので、「おもしろいからこそ続くんだ」と推測したんです。

ハズレでした。

漫画みたいなストーリーでした。

実際にアニメ化されているんですけどね。

若者向けのストーリーでした。

とんとん拍子に話は進むし、ちょっと色っぽいし・・・。


最後は飛ばし読みで、一気のゴールへ。


最近は、本選びのハズレが続いています。

あくまでもじいちゃんの感想です。




posted by 田沼 at 05:33| Comment(0) | 読書のススメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月10日

にじいろガーデン 小川 糸

【本の帯】

夫との関係に悩む泉は、ある日女子高生の飛び込み自殺を止める。

事情を聞いているはずが、知らず知らずのうちに自らの身の上話をしていた泉。

やがて二人は魅かれ合い、お互いをかけがえのない存在だと知る。

家族として共に歩むことを決意し、理想の地を求めて山里へ移り住んだタカシマ家は、母二人、子二人での生活を始めてー。

たくさんの喜びを紡いだ一家の軌跡を描く、愛と再生の感動長編。


【読書後記】

「つるかめ助産院」や「食堂かたつむり」の作者ということで、期待して買いました。

さわやかな感動で涙さえ感じた作品だったんです。


今回の結果はというと・・・「もう一歩及ばず」というところでしょうか。

今回の作品も、心に傷を負った女性が新天地で力強く生きていく姿が描かれています。

周りの自然と温かな人々の姿が、ゆっくりとしたストーリーで流れていく作品でした。

その点で言えば、「つるかめ助産院」や「食堂かたつむり」と同じようなストーリー仕立てと言えます。

しかし、ちょっと違うのが15年ほどの歳月を描いているという点です。

説明的な文章で数年の時がいっぺんに経ってしまい、情緒に欠けるように感じた時が何度かありました。

また、主人公たちの心がいっぺんに癒されて、その後はとんとん拍子に話が進んでいくという点も、もう一歩感動のストーリーとまでとはいきませんでした。

底抜けなハッピーエンドでないという点に関しても、私の好みではないように思いました。


今回は辛口の評になってしまって、大変申し訳ありませんでした。

この感想は、あくまでも私個人の好みの問題だろうと思います。




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2017年07月03日

「居酒屋 ふじ」という物語の世界

作者は栗山圭介。

【本の帯】

役者志望の「僕」は、その日もオーディションに落ち、ふらりと小さな居酒屋に入った。

壁いっぱいに貼られたサイン色紙に、有名選手の記念バット…。

目黒区蛇崩。

著名人が通い続ける実在の店の、伝説のおやじ。

彼の八十余年の強烈な生き様は、今に迷う人たちへ、勇気と希望を与えてくれる。

傑作長編小説。

【読書後記】

居酒屋のおやじと売れない役者の卵が織り成す人情物語。

深夜食堂みたいな雰囲気です。

山あり谷ありの壮絶な人生を送ってきたおやじの昔話が大半を占めています。

その話が実に奇想天外、空前絶後、波乱万丈というところです。

実在した人物の話のようですので、このおやじに関わった周りの人は大変だったことでしょう。


おやじの昔話を聞いてやるのが売れない役者の卵。

時には驚いたり、時には感心したり。

喧嘩別れすることだってあります。

その聞き手の表情がコロコロと変化するのもおもしろいです。



普通の文庫本の2倍ほどもある長編で、しかも昔話ばかりがダラダラと続くので途中で投げ出したくなりました。

迷いながら後半に突入した頃に、昔捨てた娘が登場します。
泣けますよ。m

親孝行の娘との別れのシーン。

ついつい涙がポロリ。


結局、最後まで読み進めてしまいした。

なんか変な魅力を持った作品です。

TVドラマ化されるという噂ですので、ぜひとも見てみたいものです。



posted by 田沼 at 05:19| Comment(0) | 読書のススメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする